「データによる食と健康・医療の最適化」を実現するヘルスケア・スタートアップ、株式会社おいしい健康はこのたび、慶應義塾大学医学部呼吸器内科学教室(福永興壱教授)が実施する「大人の喘息(成人気管支喘息)に関する食生活調査研究」(以下、本研究)に参画いたしますことをお知らせいたします。
成人における気管支喘息(以下、喘息とする)などの気道の慢性炎症疾患は過去30年で患者数は3倍になったと報告されており、社会的な影響が大きい疾患です。近年、食の欧米化や生活習慣の変化に伴い肥満は増加傾向にありますが、肥満は喘息発症・悪化の危険因子であると報告されています。しかし、肥満合併喘息患者の食事習慣と喘息症状との関連について述べた報告は少ないのが現状です。その理由として、呼吸器疾患への食事指導の実績の少なさ、喘息と肥満の関連についての認知不足など、様々な要因があると考えられます。
そこで、慶應義塾大学医学部が実施する本研究では、喘息患者、特に肥満合併喘息患者の食事習慣と喘息症状との関連を明らかにすることを目的に、スマートフォンを用いた調査を行います。
本研究における喘息患者を対象とした食生活調査は、株式会社おいしい健康が開発したスマートフォン対応Webサイトを用いて行われます。
本研究の目指すところは、喘息患者における食生活改善の有効性を定量的に検証するとともに、喘息患者の実際の食生活を支援するアルゴリズムを開発することで、症状の改善と生活の質(QOL)の向上を図ることです。今回実施する1st Studyでは、(1)「喘息症状のコントロール状況を明らかにするための調査」、(2)「喘息患者の食事内容、生活リズムの特徴を明らかにするための食事調査」を実施します。
これらから得られた結果をもとに、喘息患者における生活習慣の有効性を検討し、その後に予定する介入研究の結果を経て、喘息患者の食生活改善を通じた増悪予防・症状改善を支援するアルゴリズムを開発・実装・事業化する計画です。
《研究概要図》
《調査サイトのリンク》
https://research-kit.oishi-kenko.com/kokyuki/
株式会社おいしい健康では、自社の食事療法支援プラットフォームから得られる独自の「食と健康のビッグデータ」をもとに、医療における食のあり方を科学的に検証し、このたびの成人気管支喘息をはじめとした様々な疾患の予防・治療に有用なデジタルサービスの研究および開発・事業化を推進してまいります。
福永興壱*(慶應義塾大学医学部呼吸器内科教授)
近年わが国の喘息患者さんは推計1200万人と言われ15年前の約3倍に増えています(厚生労働省平成26年疫学調査)。喘息の原因としては様々なことが考えられていますが、肥満を伴う喘息は症状のコントロール不良なことが多いと言われています。我々が取り組んでいる重症喘息患者に関するこれまでの調査でも肥満合併(BMI 25以上)の患者さんの割合は約30%であり、その頻度は少なくないことがわかりました。こうしたことから我々は、わが国における食文化の変化が喘息患者さんの増加あるいは難治化は原因のひとつではないかと考えました。そこで今回「おいしい健康」の皆さんと共同で日本の喘息患者さんたちの食生活の実態を明らかにし、喘息と栄養・食習慣との関わりについて考えたいと思い、この研究を立ち上げました。将来この研究の成果が喘息患者さん1人1人に対する個別化・最適化された治療につながることを期待している次第です。
1994年 慶應義塾大学医学部卒
1996年 慶應義塾大学大学院博士課程(内科学:呼吸循環器専攻)
2002年 米国ハーバード大学医学部 Brigham and Women's Hospital 博士研究員
2010年 慶應義塾大学医学部呼吸器内科 助教
以後、専任講師・准教授を経て2019年6月より現職
専門は気管支喘息をはじめとする呼吸器・アレルギー疾患
株式会社おいしい健康では、「誰もがいつまでも、おいしく食べられるように」という理念のもと、生活者・家庭目線のヘルスケア事業を展開しております。テクノロジーとビッグデータを活用し、生活者個々の健康を食事面から支えることは、病気予防や重症化防止に寄与するのみならず、その先にある「心からの笑顔」を増やすことにつながります。元気であってほしい、食べたい・食べさせてあげたいという家族の想いを叶え、健康維持や予防、病気、妊娠・育児や介護のときであっても、毎日を笑顔で過ごせる社会の実現を目指します。
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